プラズマでの波動励起、粒子の加速と加熱現象
1.変形2流体不安定性の励起と電子の自動共鳴加速
磁場と垂直に近い角度で伝播する静電波で、電子とイオンビームの共鳴に
より励起される (modified two-stream instability)。この非線形過程では、
電子とイオンの加熱が生じる。興味深い現象は、イオンビーム速度がイオンの
熱速度に近い場合におき、波動が電子と集中的に相互作用して、電子の加速
に同期して波動の位相速度が増加する。これが、自動共鳴 (autoresonance)
と呼ばれる過程で、電子は波動と持続的に相互作用するため、高エネルギー
に加速されテイル状速度分布をもつ。
2.アルヴェン・イオンサイクロトロン波の励起とプラズマ加熱
イオン温度の非等方性により励起される低周波数で円偏光の電磁波動。
イオンについて、磁場垂直温度が平行温度より大きい場合に励起され、その
結果、温度の非等方性が2程度まで緩和される。この非線形過程では、位相
空間でイオンの強い捕捉が起きる。この波動によるプラズマ加熱は、一般の
サイクロトロン加熱と似ており、磁気圏やショック面など、大きなサイズを持つ
プラズマで広く励起され、加熱に関与する。
3.運動論的アルヴェン波の励起とプラズマ加熱
粒子効果がきいたアルヴェン波。磁気流体波であるアルヴェン波は粒子と
相互作用しないが、この磁場と垂直に近い角度で伝播する「運動論的アルヴェ
ン波」は、その波動電場と磁場に沿う電子運動が共鳴する。このため、波動は
ランダウ減衰し電子が加熱される。一方、磁場垂直方向の波長がイオンの
ラーマー半径と同じ程度であるため、イオンとも相互作用しイオン加熱が生じ
る。アルヴェン波によるプラズマ加熱であり、太陽コロナの加熱機構として考え
られている。
References
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two-stream instability, Phys.Fluids, 26, 1697-1699 (1983).
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